お薦めコンサート

石合 力◎朝日新聞編集委員

いずみシンフォニエッタ大阪、現代音楽の巨匠クラウゼ招き日本初演

尾高忠明指揮大阪フィルハーモニー交響楽団
 ラフマニノフ・チクルス~ 永遠とわの浪漫~ Ⅲ

10月1日(木)19:00 ザ・シンフォニーホール ベンジャミン・グローヴナー(p)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、交響曲第3番

■松井慶太指揮いずみシンフォニエッタ大阪「藤倉大のこんな音楽、いかが?」
〈クラウゼを聴こう!〉

10月3日(土) 16:00 住友生命いずみホール

北村朋幹(p)、中川日出鷹(fg)、藤倉大(プレ・トーク)

ジグムント・クラウゼ:ピアノと管弦楽のためのコンチェルティーノ(IAMとの共同委嘱/日本初演)、ジョージ・ルイス:Assemblage(日本初演)、福岡似奈:Body without Organs (2025) (日本初演)、西村朗:ロプノール(彷徨える湖)(2022)、藤倉大:ファゴット協奏曲(アンサンブル版日本初演)(10月2日19:00より同ホールにて、公演チケット購入者などを対象にクラウゼと藤倉大の作曲家対談を開催予定)

上岡敏之指揮京都市交響楽団第716回定期演奏会

10月9日(金)19:00、10日(土)14:30 京都コンサートホール 大ホール
ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》から「前奏曲」「愛の死」、ブルックナー:交響曲第6番


 主に西日本の演奏会から紹介する。尾高忠明が手兵大阪フィルと進めるラフマニノフ・チクルスの第3弾。ピアノ協奏曲第2番に英国の俊英ベンジャミン・グローヴナーが登場する。

 英BBCプロムス開幕コンサートに最年少19歳でデビュー。グラモフォン誌が、録音史上のトップ・ピアニスト50人の一人に選んだ。昨年の来日では、ヤルヴィ指揮NHK交響楽団とのブリテンのピアノ協奏曲やリサイタルでの《展覧会の絵》で圧倒的な演奏を聴かせた。透明感あふれるピアニッシモと力強さを併せ持つ34歳が屈指の名曲をどう聴かせるか。

 現代音楽の演奏を主目的とするいずみシンフォニエッタ大阪が、「クラウゼを聴こう!」と題して、ポーランドの作曲家、ピアニストのジグムント・クラウゼに焦点を当てる。《ピアノと管弦楽のためのコンチェルティーノ》の日本初演のほか、演奏会前日には、本人とシンフォニエッタの音楽監督を務める作曲家藤倉大との対談も。ポーランドの現代音楽サマーコースに19歳の藤倉が参加した時以来の縁が広がった。ロンドン在住の藤倉は、監督就任後の演奏会に初登場となる。プログラムの最後には、自作の《ファゴット協奏曲》(アンサンブル版)が日本初演される。

 京都市交響楽団の定期に上岡敏之が登場。ブルックナーの交響曲第6番を取り上げる。6月に読響とショスタコーヴィチ交響曲第8番を超スローテンポで演奏し、ブラボーとブーイングが交錯して話題に。前半のワーグナー《トリスタンとイゾルデ・愛の死》は、第6番第4楽章の第2主題のモチーフとして現れる。


清宮美稚子◎本誌編集

多様な弦の編曲版で聴きくらべる《ゴルトベルク変奏曲》

■濱田芳通(指揮・リコーダー)&アントネッロ(声楽・管弦楽)
 J.S.バッハ《マタイ受難曲》

10月3日(土) ・4日(日)15:00 川口総合文化センター リリア 山伸サステインホール
福音史家:中嶋克彦、イエス:坂下忠弘、他 

弦で聴きくらべ「J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲」
 第1回 弦楽トリオ〈マチネ/ミュンヘンの仲間たち〉/
 第2回 ギターデュオ〈ソワレ/天才ギタリストが盟友と奏でる双子ギター〉

10月4日(日) 兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール
14:00(マチネ)=青木尚佳(vn)、ジャノ・リスボア(va)、ウェン=シン・ヤン(vc) J.S.バッハ(シトコヴェツキー編):ゴルトベルク変奏曲、他(同演目公演:10月6・8日東京、11日東海市)

18:00(ソワレ)=ティボー・ガルシア、アントワン・モリニエール(以上g) J.S.バッハ(ガルシア&モリニエール編):ゴルトベルク変奏曲(同演目公演:7日東京、10日横浜)

吉田隆子の音楽展 その2
〈没後70年コンサート~大正・昭和を駆け抜けた女性作曲家~〉

10月9日(金)18:30 旧東京音楽学校奏楽堂

川原彩子(p)、榮村香(cl)、南条由起(vn)、濱田千枝子(S)、町田健児(Br) 吉田隆子:カノーネ、ポンチポンチの皿廻し、組曲《道》、ヴァイオリン・ソナタ ニ調、《君死にたもうことなかれ》、他


 本誌インタビュー(2024年4月号)で、濱田芳通が「楽譜忠実主義に反旗を翻す」と種明かしした通り、随所に工夫を凝らした2023年5月の川口での公演が好評を博したアントネッロの《マタイ》。同じホールのリオープン記念として待望の再演が行われる。合唱のアルト4人のうち3人がカウンターテナーというのも濵田のこだわりだろう。再演ではどのように柔軟な演奏を聴かせてくれるだろうか。

 《ゴルトベルク変奏曲》を鍵盤楽器以外の編成で聴く機会が増えているが、10月の兵庫ではまさに「弦で聴きくらべ」と題して、弦楽三重奏版(マチネ)と、ギターデュオ版(ソワレ)を1日で聴くという稀有な体験ができる。前者はミュンヘン・フィルのコンサートマスター青木尚佳とその仲間たち、後者は天才ギタリストのティボー・ガルシアとその盟友。両方とも兵庫以外でも公演が予定されている。ただし1日で両方は聴けないが。

 没後70年となる女性作曲家、「吉田隆子の音楽展 その2」が開かれる。「その1」はいつだったかと調べると2015年、『作曲家・吉田隆子 書いて、恋して、闊歩して』の著者、辻浩美氏が企画した演奏会だった。今回の企画・構成も同氏。戦時下で反戦を貫き、治安維持法違反で4度も収監されたという「抵抗のモダンガール」。国内・国際情勢とも不穏な今こそ、その生き方に想いを馳せ、音楽に耳を傾けてみたい。

 最後に注目のオーケストラ公演を。N響100年記念特別演奏会はルイージ指揮でマーラー《復活》(10月3・4日)、都響はミンコフスキ指揮でブルックナー第8番(10月21日第1054回定期Bシリーズ、22日都響スペシャル)。