おすすめアーティスト一覧

過去のアーティストをみる

おすすめアーティスト

vol.119 ピアノ 久元祐子

ピアノ 久元祐子
©A.Muto

神奈川フィルとプーランクの協奏曲を
ベーゼンドルファー280VCを使用
「宝石箱のようなめくるめく世界です」

 久元祐子が、演奏機会の少ないプーランクのピアノ協奏曲を鈴木優人指揮の神奈川フィルと6月に共演する。
 「2017年暮に日本でこの曲のスコア(板倉康明氏の解説・監修《全音》)が出版され、弾いた瞬間、型破りなこの曲の虜になりました」
 このピアノ協奏曲は1949年に作曲され、ミュンシュ指揮ボストン交響楽団で初演された。プーランクは1899年、パリに生まれた。幼いころからピアノは習っていたが、製薬会社を経営する父から音楽学校に通うことは許されず、音楽は独学。ラヴェル、サティと知り合い、オネゲル、ミヨーらと「6人組」で活躍した。作品は多く、オペラ「カルメル会修道女の対話」と「人間の声」などが現在でも上演される。

ピアノ 久元祐子
©A.Muto

 「今回は、ぜひこの曲を!と提案させて頂きました。宝石箱のようなめくるめく世界。クリスタルな響きから突然異次元に飛翔したり・・・とにかく変幻自在な音楽です。斬新で大胆で繊細。そして巧みなオーケストレーションと緻密なアンサンブルの面白さは絶妙。とびぬけた才能と自由な発想から生まれた色とりどりの楽想がぎっしりつまっています」と久元は話す。

 コンサートには、オーストリア・ウィーンの老舗ピアノメーカー、ベーゼンドルファーの280VCピラミッド・マホガニーを持ち込み、演奏する。これは久元のためにオーストリアの工房で特別に作られたもの。ウィンナートーンの温かさを持ちながら、デュナーミクが幅広く、強 じん さもある。このマホガニーの美しいピアノはステージで映えるに違いない。
 「このピアノはプーランクのpppからfffまで敏感に反応してくれます。プーランクの音楽はバスが重要な役目を担っているので、ベーゼンドルファーの豊かな低音は心強い限りです」
 プーランクはピアニストでもあり、この協奏曲初演のソリストを務めた。
 「プーランクは指が長かったそうです。ピアニストの生理を知っているので、ピアノを弾く立場で書いています。だから弾けないようには書いていません。ピアノのパート譜に『気楽に』と書いてありますが、指示がたくさんあります。計算され尽くした気楽さです。伝統の街鎌倉はちょうど紫陽花の季節。音楽と共に楽しんで頂きたいです」

Yuko Hisamoto

東京藝大を経て同大学院修了。ウィーン放送響、ベルリン・カルテット、読響など内外のオーケストラと多数共演。2011年、世界でも数少ないベーゼンドルファー・アーティストに選出される。イタリア国際モーツァルト音楽祭に度々出演。ブロードウッド(1810年頃製)、プレイエル(1843年製)などを所蔵し、歴史的楽器の演奏・研究にも取り組む。CD16作をリリース。グラモフォン誌で「どこからどう考えても最高のベートーヴェン」など高い評価を受ける。新刊《作曲家が愛した楽器からアプローチする演奏法~ベートーヴェン~》など著書多数。国立音楽大学・大学院教授
http://www.yuko-hisamoto.jp/

ここで聴く

神奈川フィル
フューチャー・コンサート鎌倉公演

6月5日(日)14:00 鎌倉芸術館

指揮:鈴木優人 ピアノ:久元祐子
モーツァルト:歌劇「劇場支配人」序曲
プーランク:ピアノ協奏曲
ブラームス:交響曲第2番
問い合わせ:神奈川フィル・チケットサービス  TEL:045-226-5107

11月23日(水・祝)14:00~ サントリーホール(ブルーローズ)

久元祐子リサイタル

モーツァルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会(vol.6)最終回
モーツァルト:ロンド ニ長調 KV 485
       ロンド イ短調 KV 511、他