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vol.79 メゾ・ソプラノ 郷家暁子

メゾ・ソプラノ 郷家暁子
©Yoshinobu Fukaya/aura.Y2

「ヘンゼルとグレーテル」のヘンゼルを歌う
6月のNISSAY OPERA、日生劇場で公演
「ただのメルヘンチックでない所が好きです

 「ヘンゼルとグレーテル」で初めてのタイトルロールを歌う。兄ヘンゼルは、いわゆる女声が男声を歌う「ズボン役」。実は中学生の頃、宝塚歌劇が好きで歌劇団の受験もしている。
 「宝塚の男役にあこがれがありました。中学1年から声楽を学び、バレエも習いました。宝塚に入ることはかないませんでしたが、習っていた先生に『歌は辞めないほうがいい』と言われました。それから東京芸大を受験したのですが、オペラ歌手になるつもりはなかったのです。大学で師事した平野忠彦先生はミュージカル『アニー』にも出演していました」
 これまでにも「フィガロの結婚」のケルビーノ、「ナクソス島のアリアドネ」の作曲家とズボン役を歌っている。
 「ヘンゼルはどうしても演じたく、並々ならぬ意気込みでオーディションを受けました。ドイツの作品が大好きなのです。フンパーディンクの音楽にはワーグナーの影響を感じますし、『ヘンゼルとグレーテル』の初演の指揮はR.シュトラウスでした。題材は分かりやすいですし、キャッチーなメロディーもあります。しかし、調の変化も多く、ただメルヘンチックじゃないところが好きなのです。これはぜひ出演したいと思ったのです」
 原作はグリム童話。母親にしかられた兄妹は森にいちご摘みに行き、道に迷う。お菓子の家を見つけ、入ってみると、そこには怖い魔女がいた…。

大阪の堺シティオペラ「ナクソス島のアリアドネ」
大阪の堺シティオペラ「ナクソス島のアリアドネ」
(岩田達宗演出、2016年9月11日)photo HIKARI PHOTOSTUDIO

 「6歳になる息子からヒントを得て、息子ならどうするか、と考えます。男の子には男の子ならではの思考回路があり、そうなんだ、と気づくことがしばしばです。娘もいるのですが、男の子はかっこをつけて、女の子の方がしっかりしているかな。フンパーディンクの音楽にも男の子のころころ変わる気持ちが出ています」
 今回は日本語の訳詞上演で、演出は振付家の広崎うらん。一般公演2回のほかに中高校生対象の学校公演7公演、10月には愛知と仙台での公演もある。
 「オーディションではすごく動くことを求められました。演技力が必要です。分かりやすい日本語の歌詞になっています。生徒たちは本当に素直なので本物を見て、オペラに興味を持って欲しい。メゾ・ソプラノの役は深い精神を求められます。人生を歌うのですから経験を積むことが大事ではないでしょうか。経験が成長させてくれるのです。最近、ようやく自分の歌が歌える年になってきたと思います」

Akiko Gohke

神奈川県出身。東京芸術大学卒業。同大学院修了。二期会オペラ研修所第60期マスタークラス修了。丹波の森国際音楽祭シューベルティアーデたんば20回記念「シューベルトの歌コンクール」最優秀賞。2017年、日生劇場「ルサルカ」森の精2の役で出演。18年、二期会ニューウェーブ・オペラ劇場「アルチーナ」ブラダマンテで二期会デビューし、プッチーニ「三部作」にも出演。19年2月、「金閣寺」娼婦役で出演した。二期会会員。

ここで聴く

NISSAY OPERA 2019「ヘンゼルとグレーテル」
日本語訳詞上演、日本語字幕付
6月15日(土)、16日(日) 各日13:30 日生劇場

作曲:フンパーディンク  指揮:角田鋼亮
演出・振付:広崎うらん  新日本フィル

          15日    16日
ヘンゼル     郷家暁子   山下裕賀
グレーテル    小林沙羅   鵜木絵里
父        池田真己   小林大祐
母        藤井麻美   八木寿子
魔女       角田和弘   伊達達人
眠りの精・露の精 宮地江奈   照屋篤紀

■問い合わせ:日生劇場 電話03-3503-3111